キンコン西野氏は絵本の無料公開をするべきではなかった

2017/01/19 13:56
カテゴリー: 雑記

一部から「西野すごい」だとか「神」だとか言われそうなこの件、個人的にはまったく評価できない。
ブログを読む限りでは、彼も悩んだらしいし、無料公開で関係者が減収になることにためらいがあるのも見て取れる。

ただ、やはりここは踏みとどまるべきだった。

この件の一番の問題は、「『値段が高い』とゴネさえすれば絵本が無料で公開される」という先例を作ってしまったこと。

「市のポスターを作ってるくれるデザイナー募集。無報酬で」という案件が出回るデザイン業界にしろ、「1200円は高い!」と言われてしまうようなスマホゲーム業界にしろ、「タダで聞けるし」と言われてしまう音楽業界にしろ、とかくクリエイターというのは、無償や低価格で仕事をさせようとする勢力と戦わなければいけない。自分たちの仕事にはそれ相応の対価が発生するということを、いかにしてクライアントにわかってもらうか四苦八苦しているのである。

その苦労を今回の一件で西野氏がぶっ壊してしまった。

彼は関係者の収入のことには頭が回ったらしいが、同業者やほかのあらゆるクリエイターのことまでは気が回らなかったらしい。

「西野も無料で公開したんだから他の人も無料にしろ」という図々しい要求が今後出てくるだろうことは容易に想像できる。
あるいは発注の段階で「無料で描いてください」という連中が今以上に増えるかもしれない。
上で例を上げたスマホゲームだって、昔は買い切りで誰も文句言わなかったのに、今では無料じゃないだけで評価に☆1があふれるようになってしまった。

西野氏はこの絵本を4年間かけて描いたらしいが、彼は自分でその4年間を否定してしまった。
絵はとても素敵だけれど、無料公開してしまった時点で彼は「プロフェッショナル」ではなくなったのだ。
そして彼の汗と涙と苦労の染み込んだ絵本は。かわいそうに「無価値」になった。

自腹で図書館に寄贈する、朗読会を開催するなど、子供たちに触れてもらう方法はいくらでもほかにあるはず。
彼の行動で「金の奴隷」から開放されなくてはいけないのは、彼一人でなくてはならない。ほかを巻き込むべきではない。

いずれにしろ、将来「ものの価値の分からない人間」が今以上に増えないことを祈るばかり。

追記:記事公開の後に知ったが、この絵本は一人だけで描いているのではなくて、実際はメインのイラストレーターはじめ、多くの人が協力しているらしい。誰か止める人はいなかったのか。

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