ニコニコ超会議2016「超歌舞伎 今昔饗宴千本桜」を見た方へ

2016/04/29 21:33
カテゴリー: 歌舞伎

中村獅童と初音ミクがコラボした超歌舞伎 今昔饗宴千本桜、とにかくすごかったですね。僕は初日3回目の生放送を見ました。僕はあまりミクの声を聞き慣れていなかったので、最初は独特の高い声に戸惑ったのですが、最後には全く気にならなくなっていました。

超歌舞伎は想像していたよりもずっと歌舞伎成分が多めで、驚きました。ミクと映像部分以外はほぼ歌舞伎だったと言っていいでしょう。初心者が楽しめる立ち回りや見得、忠信(獅童)の歌舞伎的な台詞をきっちりと盛り込みつつ、映像によって従来では不可能だった表現を実現していました。逆に、初心者が退屈に感じがちな説明部分はミクや映像に完全に頼ることで、飽きさせないようになっていました。

超会議の入場料だけでこれだけのものを見られるのですから、太っ腹な企画だと思います。

さて、今回の超歌舞伎を見て「自分も劇場で歌舞伎を見てみたくなった!」という人へ、いくつかお伝えしたいことがあります。

1. まずは何を見ればいいか(東京近郊にお住まいの方)

なるべく早く歌舞伎を見に行きたい!という人には、歌舞伎座の「團菊祭五月大歌舞伎」があります。超歌舞伎の前にも広告が出ていましたね。尾上菊五郎、中村吉右衛門といった人間国宝が二人共演するほか、あの市川海老蔵も出ますから「有名な人が出ているのが見たい!」という方にはおすすめです。

歌舞伎座 2014年

歌舞伎座 2014年

ただ正直な話、演目としては超歌舞伎LOVEな方がガッツリ楽しめるものは無いかなと思います。強いて言えば、昼の部最後の「桜門五三桐」は桜満開の美しい舞台、夜の部の「三人吉三巴白浪」は気持よい台詞回しが楽しめるかとは思います。また、5月公演はすでにチケット発売から日が経っていますので、週末分の席を探すのは難しいかもしれません。

「もう少し待てる。」という方には六月歌舞伎座の義経千本桜がおすすめです。松竹も明らかに超歌舞伎からの新規の取り込みを狙ってますね。三部あってそれぞれ見どころはありますが、せっかく超歌舞伎で忠信を見たのですから、ここはおとなしく第三部を狙いましょう。最近テレビに出まくってる市川猿之助主演で、古典でありながらもさまざまな仕掛けや立ち回り、宙乗り(ワイヤーで飛びます)もあるので、たっぷり楽しめるでしょう。

第一部から全部見れば義経千本桜のことがよりわかるので、お財布に余裕があればトライしてみてください。

半年先になりますが、10月には片岡愛之助の石川五右衛門があり、こちらも楽しめるでしょう。
(2016.5.4 海老蔵ではなくて愛之助でした。申し訳ありません。修正しました。)

2. チケットの買い方

歌舞伎座の場合、基本的に興行は昼の部と夜の部の二部制になっています。6月のように三部制の時もあります。それぞれの部ごとにチケットを購入します。購入先はチケットWeb松竹ほか、コンビニなどでも可能です。詳しくは松竹の歌舞伎美人というサイトをご覧ください。

料金は1等席は1階であれば舞台に近く花道も見えるのですが、18,000円と高額です。逆に3B席であれば、3階の後ろのほうで花道は舞台に近い一部分のみしか見えませんが、4,000円とリーズナブルです。自分の好みに合った席を選びましょう。僕は最近は6,000円の3Aを選ぶことが多いです。

3A席からの眺め

歌舞伎座3A席からの眺め

また、歌舞伎座には幕見という制度があります。こちらは当日券で、劇場でチケットを購入して、各部のうち一幕から見られるものです。価格は1,000円~2,000円程度。気軽に利用できるのですが、各演目の開演1時間半ほど前にチケットが販売され、休日にはさらにその1時間ほど前に並ばないと席が確保できないので、演目自体の時間と合わせて結局4時間ほど必要です。同じ時間拘束されるなら素直に指定席を予約してしまったほうがいいと思います。また、幕見席は客席の一番後ろで、指定席のフロアからは隔離されているので、劇場内の売店等は利用できません

3. そのほか、知っておくといいこと。

上演時間と食事

昼の部は11時開演で15時半頃まで。夜の部は16時半開演で20時半から21時頃まで。それぞれ休憩が合計1時間ほどあります。昼の部は休憩中に昼食、夜の部は夕食を取ることになります。食事は劇場内のレストランで取るか、弁当などを購入。あるいは外で買ってきたものを持ち込みできます。客席で飲食可です

筋書きとイヤホンガイド

あらすじと俳優の紹介、コメントなどが載っている筋書きが売っています。1,500円程度。月半ばを過ぎるとその月の舞台写真が掲載されたバージョンに変わるので、写真入りが欲しい方は月の終わりの方に行きましょう。台詞の合間に演目の解説をしてくれるイヤホンガイドも借りられます。レンタル料700円程度と保証金1,000円。そのほか、字幕ガイドもあります。話がわかるか不安な方はこれらをうまく利用しましょう。

4. 最後に、重要な約束事

それは、「むやみに声をかけない、手拍子などをしない」ということ。今回の超歌舞伎では「ここぞという時に萬屋、初音屋、紀伊国屋と声をかけましょう」とアナウンスされていました。このような企画やスーパー歌舞伎のような新しい舞台では指示通り自由にして良いのですが、特に古典を見る際には初心者はやめておいたほうが懸命です。

こういうことを言うと、「そういう初心者お断りな上級者が新規の客を遠ざけているのではないか」と言われそうですが、そうではないのです。むしろ僕はもっと歌舞伎人口が広がればいいと思いますし、初心者を何度も劇場に連れて行っています。そうではなくて、大向うは、役者への賛辞というだけではなくて、舞台の空気、リズムに関わってくる重要な要素なのです。これがまずいと、他は良くても舞台が台無しになったりします。いま役者が見得をしようとしてぐっと力を入れているところに、ずれずれなタイミングで甲高い声をかけられたらどうなるでしょう。力が抜けてしまいますよね。逆にそういうシーンでは力強く短い声をズバッとかけると役者が最高にかっこよく決まります。あるいは、追い詰められた二人がこれから心中に向かう道中。「ご両人!」などと声がかかったらどうでしょうか。死ににいく人たちに向かってご両人はないでしょう。こういう時には声をかけないか、かけても屋号をさらっと。

このように、大向うは適切なタイミングに、適切な言葉を、適切な声の大きさ・調子でかけないといけないのです。そして、それにはある程度以上の観劇歴と、経験が必要です。声を掛けたくてもぐっと我慢して、最初は大人しく上級者に任せましょう。

最近、場にそぐわないウケ狙いの掛け声や手拍子などが問題になっています。ついには、ある演目では開演前に大向うを禁止するアナウンスが流れたそうです。重い場面なのに客を笑わせて雰囲気を壊すような声をかける輩がいたからでしょう。

もちろん、面白い場面で笑ったり、素晴らしい演技に心から拍手する、そういうのはアリです。

 

以上、長くなってしまいましたが、「これから歌舞伎を楽しみたい!」という人へ、お伝えしたいことでした。もっと歌舞伎を好きな人が増えますように。

2016.5.3 追記:

こちらのブログもご参考に。

 

コメント:4

  1. やぷ次

    >ミクと映像部分以外はほぼ歌舞伎だったと言っていいでしょう。

    小説千本桜と義経千本桜のコラボですよ
    千本桜は小説をもとに漫画やミュージカルにもなってます
    wikiの通り義経千本桜に桜はほぼ関係ありません。桜の場面は一カ所もなくセリフで桜は一度しか出てきません

    小説千本桜のミクは千本桜の神憑で帝都桜京の人柱です
    神代から桜守(KAITOやリンとレンとMEIKOとルカ)を従えて転生を繰り返して国を守っているという話です
    劇中でミクが持っていた武器も千本桜ミクのものだったので歌舞伎と関係はあると思います

    小説千本桜のwiki
    http://dic.pixiv.net/a/%E5%B0%8F%E8%AA%AC%E5%8D%83%E6%9C%AC%E6%A1%9C
    漫画千本桜
    http://comic-walker.com/viewer/?tw=2&dlcl=ja&cid=KDCW_AM15000001011005_68

    • Miyazaki Yuuki

      ご指摘・ご指南ありがとうございます。
      私の言いたかったのは、ミクに関係のある部分や最新の映像を使った部分以外は、衣装や立ち回りなどにおいて、義経千本桜を軸とした古典歌舞伎だったということです。

      ミクの世界も奥深くて私は全然追えてないので、今後勉強します。

  2. はじめてコメントします。

    超歌舞伎をご覧になった方向けの歌舞伎入門、簡潔にまとめておられると思います。

    ただ、10月の石川五右衛門、GOEMONの公演なら愛之助主演ですが…。

    http://www.kabuki-bito.jp/sp/theaters/shinbashi/play/469

    • Miyazaki Yuuki

      ご指摘ありがとうございます。愛之助主演でした。どこで間違えたのか・・・。訂正いたしました。