Lumia1020発表前に、PureViewをマジ解説

2013/07/10 18:24

808

最後のSymbianである、808PureViewが発売され1年が経ちました。また、明日7月11日にその後継機であるLumia1020(コードネームEOS)の発表が予定されています。

ここで、その発表前にPureViewについて改めて見てみましょう。かなり長いのでご注意ください。間違い等あるかと思います。お気づきの方はコメント欄か、Twitter(@jucius0)でお願いいたします。

PureViewとは何か

PureViewはNokiaのカメラ技術の総称です。現在、PureViewには2種類存在します。

  1. 高画質化を目指したPureView・・・PureView第1段階
  2. 暗所撮影性能を究めたPureView・・・PureView第2段階

1 は現在808PureViewにのみ搭載されています。

2はその後に登場したLumiaのハイエンドモデル(920、925、928)に採用されていま す。

808PureViewが世に出た当初は、高画素センサーを使用した高画質化技術をPureViewと呼ぶものだと、誰しもが思っていましたし、実際 Nokiaもそのつもりだったんだと思います。

ところがPureViewの名前が割りと良い感じに世に広まってくれたからか、PureViewの定義を 「Nokiaの高性能カメラ技術の総称」と定義しなおして(もちろんNokiaは「定義しなおした」とは言っていません)、それ以降のLumia用の暗所 撮影技術もPureViewとしてリリースしました。そして、1を第1段階、2を第2段階に位置づけました。

この辺りの流れにはやはり少なからず反発も あったようで、今でも第1段階を「Real PureView」と呼び、第2段階をPureViewとは認めない人がいます。

PureView第1段階

808PureViewが発表された時のことは今でもはっきり覚えています。そりゃそうですね、まだ1年半ですし。

このモデルは2012年2月のMWCで発表されました。

当時、関係するリーク情報は少なく、端末表面と裏面のみ描かれた資料用の線画(表裏だけなので端末の厚みなどはわからず)と、数日前に出されたティザービデオ、「pure detail, pure depth, and pure definition」というキャッチコピー、それに「1600万画素のカメラ搭載か」という程度でした。

それが蓋を開けてみると、4100万画素のカメラを搭載したお化け端末だったのです。当然会場は大きくどよめきました。PureViewと呼ばれるその技術が解説され、性能が明らかになると、カメラ画質に関して揺るぎない評価を得るに至ったわけです。海外のカメラ専門レビューサイトでもがっつりレビューされ、しかもデジカメに引けをとらない評価をもらっています。

4100万画素にいったいどのような意味があるのか。

「4100万画素なんてスマホでは使いものにならない。馬鹿げている」という批判がありますが、なるほど、通常のスマホ カメラではそのとおりでしょう。しかしPureViewのカメラは、高画素をズーム機能、すなわち「ロスレスズーム」の実現と、オーバーサンプリングによる画質の向上に結びつけています。

この上記2つが、4100万画素から得られる最大の恩恵です。

4100万画素を活かす巨大センサー

具体的なメリットの前に、センサー(撮像素子)の話をしましょう。

センサーの詳しい話は下記のサイトなどをご覧ください。

通常、センサーのサイズは大きければ大きいほど、1画素あたりの大きさに余裕が出るため、光をよく捉えられ、画質が良くなります。

一般的なスマホのカメラに搭載されるセンサーは、1/3.2インチ(対角線が5.68mm)程度のものです。これに対して808PureViewでは1 /1.2インチ(対角線13.3mm)と、異例の大型センサーを搭載しています。コンパクトデジカメでさえ1/2.3インチ(対 角線が7.66mm)が主流ですので、コンデジよりも大きいということになります。

808_sensor_size

808PureViewの1画素あたりのサイズは1.4μmと なり、これはiPhone4Sなどと同等です。画質を上げるためには、大型センサーを取り入れつつ画素数を抑え、各画素を大きくするという方法も取れます が、Nokiaはオーバーサンプリングとロスレスズームを実現するために、画素数も4100万に増やすという選択をしました。

ここで注意ですが、808PureViewの場合、センサー自体は4100万画素ですが、撮影できる最大の画像は、16:9の場合3400万画素(7728x4354ピクセル)で、4:3なら3800万画素(7152x5368ピクセル)になります。16:9の横(7728)x 4:3の縦(5368)で4100万という計算です。

ロスレスズーム

事の発端は6年程前にNokiaがリリースしたN93という端末にあります。この端末はヒンジ部分に光学ズーム付きの300万画素カメラを搭載していました。光学ズームは、レンズを前後に駆動させて焦点距離を変化させるズームの方式です。画像を実際に拡大させる本当のズーム方式です。

N93

この端末を通して、Nokiaは携帯カメラの技術に関して多くのことを学びました。

そのひとつが「携帯電話に光学ズーム機能は不向きである」ということ。

すなわち、光学ズームを搭載するには携帯電話のボディでは狭すぎること。耐久性に難があること。バッテリーの持続時間に影響すること。動画撮影時に場合に よってはモーター駆動音を拾ってしまうこと。ズーム速度に問題があること。などなど。今では解決している問題もありますが、いずれにせよ、Nokiaはこ の時点で光学ズームには見切りをつけました。

光学ズームがダメとなると、どうやってズームを実現するか。注目したのはデジタルズームです。レンズを前後に駆動させる光学ズームと違い、デジタルズームは 画像の一部を切り抜いて拡大することで、擬似的にズームしているように見せる機能です。通常のスマートフォンに搭載されているのがこのデジタルズームで す。

デジタルズームを使えば、上記の問題はほぼ全て解決します。しますが、画質が大きく劣化するという致命的な弱点があります。

例えば500万画素の写真を撮るとき、デジタルズームで2倍に拡大すると、撮影に使われるのはこのうち120万画素程度です。この切り取った120万画素の画像を、今度は500万画素の大きさに拡大するので、残り380万画素はどうにかして穴埋め(補完)しなければいけません。大抵の場合、これはカメラの画像処理機能が自動で行いますが、もともと無いものを「ここはこういう色だろうな」と予測して補完するので、でき上がる画像のクオリティは大きく落ちることになります。

そこでNokiaが考えたのが「元から大きな画像を撮れれば、ある程度拡大しても元の画質を下回ることはない」ということです。

808PureView では、フルレゾモードとPureViewモードという2つの撮影モードが用意されていますが、ズームに対応しているのはPureViewモードのほうで す。PureViewモードには2M(4:3では3M)、5M、8Mという3つの解像度が用意されています。例えば5Mを選択した場合、3400万画素か ら500万画素を切り抜きますので、およそ2.6倍までズームできることになります。同様に2Mなら4倍、8Mなら2倍までズームしても画質は元の 3400万画素の時以下にはなりません。これが「ロスレス」たる所以。画素をロスしないでズームできるということです。

オーバーサンプリング

画像処理ソフトなどで画像を縮小する際に、オーバーサンプリングという技術が用いられます。ノイズが多くて拡大するとあまりきれいでない画像でも、小さくするときれいな画像に見えるということがよくあります。これは小さい画像の1ピクセルが大きい画像からオーバーサンプリングされてできているからです。

オーバーサンプリングとは、その名の通り「過剰にサンプリング」することです。画像を縮小する際、縮小後の1ピクセルの色は元画像の数ピクセルの色の平均から求めます。この平均を出すのに使うピクセルが多ければ多い方が、つまり、サンプルが多ければ多いほうが、より正確な色を求めることができます。

統計調査で日本人の平均身長を求める場合、10人のデータから平均を出すよりも、100人、1000人とサンプル人数を増やしたほうがより正確な平均を求められます。それと同じ事です。

下記に簡単な画像を用意しました。

全て100×100ピクセルの円ですが、1は初めから100×100ピクセルで作成された円です。2が120×120ピクセルから100×100に縮小したもの。3は200×200。4は500×500です。すべてアンチエイリアスをかけないで作成し、1以外はバイキュービックで縮小しています。

circle-100 circle-120-100 circle-200-100 circle-500-100

これらの画像を見ていただくと、明らかに右へ行くほど円が綺麗に仕上がっています。これは、4番の画像の場合、1ピクセルが元画像の25ピクセルから作られたものだからです。この時ピクセル比が25:1といいます。

808PureViewの場合、3400万画素で捉えた画像を、200万~800万画素に縮小して出力します。仮に設定が5M(500万画素)だとすると、およそ7ピクセルを使用して1ピクセルの色を求めることになります(ピクセル比7:1)。すると、初めから500万画素で撮影するよりも多くの情報からデータを作ることができるので、よりきれいな画像を得ることができます。

このように、オーバーサンプリングすることによって、画質を大幅に向上させることができます。ただし、前述したロスレスズームを使用する場合には、拡大する倍率が大きくなればなるほど、オーバーサンプリングできるピクセルが減少していき、オーバーサンプリングできなくなるところ、つまりピクセル比が1:1に なるところが最大ズームとなります。

oversampling

PureView第2段階

PureView 第2段階は第1段階に比べてわかりやすいので細かくは説明しません。光学手ぶれ補正(OIS、Optical Image Stabilisation)とf2.0という明るいレンズを活用した、暗所撮影やスムーズな動画撮影などを提供しています。手ぶれ補正に関しては Floating lensという機構を用いており、その名の通りレンズが端末内部で浮いています。Lumia920を手にとって振ってみると、中でレンズが動くのが感じら れます。写真の明るさは驚異的で、明るすぎて嘘っぽくなってしまうのが玉に瑕でもあります。

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Lumia1020はPureViewの集大成となるか

Lumia1020はすでに外観やアクセサリなど、多くの情報がリークされています。発表が近いとあって、MicrosoftのJoe Belfiore氏も同端末で撮影したサンプルショットを公開するなど、現在出揃っている情報は端末名を含めてほぼ正しいと 思われます。唯一、手ぶれ補正に関してはまだ確定的な情報はありませんが、ほぼ間違いなく搭載してくるでしょう。また、 808PureViewでは設定を切り替えなければいけなかったフルレゾ画像とPureViewモードの画像が、同時に撮影できるとの情報もあります。

画質を究めたPureView第1段階、これまで苦手としてた暗所撮影にスポットを当てた第2段階。これらの集大成となるであろう究極のPureView端末はもうすぐお披露目です。

Lumia1020

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  1. […] 尚、PureViewに関してはこちらが情熱的に語っている。 Lumia1020発表前に、PureViewをマジ解説 […]